無料で学べる「リスキリング講座」は、キャリアに不安を感じている方にとって心強い選択肢です。
とはいえ、学ぶ意欲はあっても「何からはじめればいいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな中、近年は国や自治体、企業による支援が進み、無料で受講できるオンライン講座が数多く提供されるようになりました。
そこで本記事では、キャリアアップや転職を目指す方に向けて、無料で受けられるおすすめのリスキリング講座を6つ厳選し、選び方のポイントや支援制度までをわかりやすく解説します。
ぜひ、今後の学びやキャリア形成の参考にお役立てください。
無料で受講できるリスキリング講座・サービス6選
「リスキリングに興味はあるけれど、まずは無料ではじめてみたい」という方におすすめなのが、無料で受講できるオンライン講座や支援サービスです。
ここでは、信頼性が高く、スキルアップに直結する無料のリスキリング講座を6つ厳選してご紹介します。
それぞれの特徴を比較し、自分に合った講座を探す際の参考にお役立てください。
1.日本リスキリングコンソーシアム
日本リスキリングコンソーシアムは、経済産業省が主導するリスキリング支援プロジェクトで、400種類以上のオンライン講座を無料で受講できます。自分の関心やキャリア目標に合わせて、AIやマーケティングなどの人気分野をはじめ、初心者から経営層向けまで幅広いレベルの講座を選べるのが特長です。
また、プログラム修了後には、就職・転職はもちろん、副業やフリーランスなど多様な働き方に対応したジョブマッチング支援も用意されています。おすすめの講座を自動提案してくれる機能や、学習履歴を管理できるシステムもあり、効率的に学びを進められる環境が整っています。
2. JMOOC
JMOOCは、大学の専門講座を無料で学べる日本版MOOC(大規模公開オンライン講座)です。プログラミングやデータサイエンスなど、リスキリングに直結する専門分野が充実しており、修了条件を満たせば無料で修了証も取得可能。
掲示板機能を活用すれば、他の受講者と交流しながら学習を進めることもできるため、孤独になりがちなオンライン学習も継続しやすくなります。幅広い年齢層に対応しており、「学び直しに年齢は関係ない」と感じさせてくれるサービスです。
>> JMOOCを見てみる
3. UTokyo OCW
UTokyo OCWは、東京大学が提供する無料のオンライン学習サービスで、正規講義の映像や配布資料を誰でも自由に閲覧できます。自宅にいながら、実際の授業と同等レベルのコンテンツを学べる点が、大きな魅力です。
特に、情報科学や統計、工学といったリスキリングに役立つ分野が充実しており、知識を本格的に深めたい方に最適。内容は比較的高度なため、基礎を身につけた中級者や、体系的に学びたい方に向いています。
国内最高峰の講義に無料でアクセスできる貴重な学習機会といえるでしょう。
4. gacco
gaccoは、NTTドコモグループが運営する日本最大級の無料オンライン動画学習サービスです。
大学の教養講座から、ITスキルやビジネス実務まで、幅広いジャンルに対応しており、スマホからも気軽に受講可能。100万人以上の利用実績があることからも信頼性は抜群です。
受講者同士で課題を採点し合う「相互採点レポート」や、講師も参加する掲示板でのディスカッション機能など、学習を継続しやすい仕組みも充実。基礎から実務レベルまで幅広く学べるため、リスキリング初心者にも安心しておすすめできます。
>> gaccoを見てみる
5. データサイエンス・オンライン講座
総務省統計局が提供する「データサイエンス・オンライン講座」は、公的統計データを活用しながら、データ分析の基礎を体系的に学べる信頼性の高い無料講座です。
統計リテラシーの向上を目的に、「入門」「演習」「統計オープンデータ」の3講座が用意されており、いずれも無料で受講できます。
公式サイトでは動画教材に加え、漫画やイラストを取り入れたわかりやすい解説資料も用意されているため、初学者でも無理なく学習を進められます。
今後ますます需要が高まるデータ分析スキルを、基礎から安心してリスキリングできる環境が整っており、社会人や分析に不安を感じている方にも最適です。
将来のキャリアを見据えてスキルを高めたい方に、ぜひ活用してほしい講座です。
6. データサイエンス・スクール/統計力向上サイト
同じく総務省統計局が運営する「データサイエンス・スクール/統計力向上サイト」は、統計の基本から応用まで、信頼できる情報源で学べる無料ポータルサイトです。
データ分析や統計に関する教材が集約されており、分野ごとに必要な知識を段階的に習得できます。
オンライン教材や動画は、好きな時間にアクセスできるため、仕事や家庭と両立しながら学びたい方にもぴったり。統計リテラシーを高めたい方はもちろん、実務で役立つスキルを身につけたい方のリスキリングにも最適です。
初学者でも安心して学べる環境が整っており、自分のペースで進めたい”独学派”にも心強いサポートとなるでしょう。
>> データサイエンス・スクール/統計力向上サイトを見てみる
国・自治体・企業のリスキリング支援制度と補助金
リスキリングをしたい場合には、無料講座だけでなく、さまざまな支援制度を活用するのもおすすめです。
国や自治体、企業では、スキルアップやキャリアチェンジを応援するさまざまな支援制度や補助金を用意しています。これらをうまく活用すれば、費用の負担を軽減しながらスキルアップが可能です。
そこでここからは、今すぐ使える主要な支援策を具体的にご紹介していきます。「費用を抑えてリスキリングをしたい」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。
国の主なリスキリング支援策
国が提供するリスキリング支援策を活用すれば、キャリアアップに必要なスキルを身につける費用負担を軽減できます。
代表的なものとして、厚生労働省の「教育訓練給付制度」と経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」があります。それぞれの特徴は、次のとおりです。
【教育訓練給付制度】
厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、受講費用の一部が「教育訓練給付金」として支給される制度です。
自身のキャリアアップのために、主体的に学びたい方に特に役立ちます。
(参照:教育訓練給付制度|厚生労働省)
【リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業】
対象となる民間のオンライン講座を受講する際、受講費の1/2相当額、その後転職をするとさらに1/5相当額が補助される制度です。
キャリア相談から就職支援まで一貫したサポートが受けられるため、未経験分野へのキャリアチェンジを考えている方も安心してリスキリングに取り組めます。
(参照:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|経済産業省)
どちらも働きながらリスキリングしたい社会人にとって、非常に心強い制度です。
自治体ごとの無料講座・助成金
各自治体でも、リスキリングを支援する独自の制度や無料講座が用意されていることがあります。
例えば、東京都では「東京リカレントナビ」というポータルサイトを運営しており、都内在住・在勤の方を対象に、学び直しやキャリア相談に関する情報を提供しています。このサイトでは、助成金対象の講座も簡単に探せるため、積極的に活用することで費用を抑えながら効率的にスキルアップが目指せます。
また、宮崎県では求職中・離職中の方を対象に、オンラインでITスキルを学べる「地域密着型IT人材育成プログラム」を実施。動画授業により、基礎からプログラミング、デザインまで幅広い分野を24時間いつでも学習できます。
このように、各地で多様な支援が展開されているため、「◯◯県 リスキリング 助成金」などで地元の制度を確認しておくとよいでしょう。地域の制度を活用することで、より自分に合った学びを見つけやすくなります。
企業によるリスキリング支援
企業で働く人にとっても、リスキリング支援を受けるチャンスはあります。
たとえば「人材開発支援助成金」は、企業が従業員に新たな知識や技能を習得させるための研修を実施する際に、講座費用や研修中の賃金の一部を国が助成する制度です。
また、中小企業や小規模事業者向けには、生産性向上やDX推進などを目的とした「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」、そして「DXリスキリング助成金」なども用意されています。
もし会社がこれらの支援制度を活用していれば、無料でリスキリングの機会を得られる可能性もありますので、社内の担当部署に一度確認してみるとよいでしょう。
無料リスキリング講座を選ぶ際のポイント
リスキリングをはじめようと思っても、「どの講座を選べばいいか分からない」と悩む方は多いのではないでしょうか。
講座の形式や内容、サポート体制などを比較することで、自分に合った無料講座が見つけやすくなります。
ここでは、数ある無料のリスキリング講座の中から、自分にぴったりのものを見つけるために押さえておきたいポイントを、5つに絞ってご紹介します。
1. オンラインと通学型の違いを確認する
無料のリスキリング講座を選ぶ際には、まず「オンライン型」と「通学型」のどちらが自分のライフスタイルに合っているかを確認することが大切です。
オンライン講座は、場所や時間を選ばずに自分のペースで学べるのが最大のメリットです。子育てや仕事と両立しながらでも学習を進めやすい一方で、自己管理力が問われます。
通学型の講座は、講師に直接質問できる安心感や、受講生同士の交流を通じてモチベーションを維持しやすい点が魅力ですが、通学する手間がかかります。
どちらにもメリットとデメリットがあるため、ご自身の生活リズムや学習への取り組み方を考慮し、無理なく続けられる形式を選びましょう。
2.講座の内容やレベルをチェックする
無料だからといって、何でも受ければいいというわけではありません。大切なのは「何を学びたいか」と「自分の現在地」を明確にすること。
一口に「データ分析」や「プログラミング」といっても、初心者向けから専門知識が必要なものまで、講座によってレベル感は大きく異なります。カリキュラムの詳細を確認し、自分が学びたい分野の基礎から応用までを体系的に学べるか、また現在の自分の知識レベルに合っているかを見極めることが大切です。
リスキリングは目的に合った講座を選ぶことで、学びの効果が大きく変わります。事前に講座のシラバスや紹介動画を見て、無理なく学習を進められるかを確認するようにしましょう。
3. サポート体制や修了証の有無を確認する
無料のリスキリング講座でも、サポート体制が充実している方がより効果的に学習を進められます。
たとえば、わからない時に質問できる環境が整っていると、途中でつまずいても安心です。メールやチャットでの質問対応があるか、学習に行き詰まった際の相談窓口があるかなどを事前に確認しておきましょう。
また、キャリアアップや転職を目指す場合は、講座の「修了証」や「認定証」が発行されるかどうかも重要なポイントとなります。特に、転職や社内キャリアアップを見据えている方にとっては、特定のスキルを習得した客観的な証明となり、今後のキャリア形成に役立つ可能性があります。
リスキリングを成果につなげるためには、受講後を見据えたサポート体制を意識して選ぶことも大切です。
4. 受講者の口コミや評判を参考にする
無料のリスキリング講座を選ぶ際には、実際にその講座を受講した人の口コミや評判を参考にすることをおすすめします。公式サイトだけでは見えない「講座の質」や「講師の教え方」「サポート体制の実際の状況」「学習の進めやすさ」など、リアルな情報を得ることができるからです。
オンライン上には、受講者のレビューや評価をまとめた比較サイトや掲示板、SNSなどさまざまな情報源があります。それらを調べてみると、意外なメリット・デメリットが見つかることも。多くの受講者が高評価している講座は、信頼できる証とも言えます。
複数の情報源を比較検討し、客観的な視点から講座を評価することが、後悔のない選択につながるでしょう。
5. 無料講座のデメリットや注意点を理解する
無料のリスキリング講座は手軽にはじめられるのが魅力ですが、いくつかのデメリットや注意点も理解しておく必要があります。
たとえば、無料講座は有料講座と比較して、学習サポートが限定的だったり、使用できる教材の質や機能に制約があるケースも少なくありません。
また、講座によっては基礎部分のみが無料で提供され、より深い内容や実践的なスキルを学ぶには有料コースへの移行が必要になるケースもあるため、事前に確認しておくことが重要です。
せっかくリスキリングをはじめても、続けられなければ意味がありません。受講をはじめる前に、どこまでが無料で学べて、その後の継続学習に費用が発生するのかを事前に確認し、無理なく学習を続けられるかを判断しましょう。
まとめ|無料のリスキリング講座を受講してスキルアップを目指そう
本記事では、無料ではじめられるリスキリング講座や支援制度、そして講座選びのポイントを詳しくご紹介しました。
将来のキャリアに備えるための手段として、「リスキリング」はますます重要になっています。特に近年は、国や自治体、企業による支援も充実し、無料で受講できるオンライン講座やサービスが増えてきました。
ITスキルをはじめとする市場価値の高い知識を身につけることは、現職でのキャリアアップだけでなく、在宅ワークや副業といった新しい働き方にもつながるでしょう。
「今すぐ転職」という状況でなくても、リスキリングを通じて少しずつスキルを積み重ねておくことで、将来の選択肢が広がります。
まずは気になる講座をひとつ選び、できることからはじめてみてはいかがでしょうか。本記事でご紹介した情報が、あなたのスキルアップやキャリア形成の一助となれば幸いです。